この言葉は、「ケンマのヤナセ」で知られる、研磨材専門メーカー柳瀬株式会社 大阪営業所の福吉所長のものです。福吉所長は研磨自動化の担当もされる中で、多くの現場や工場の現実を見てきた経験から、更に言葉を続けます。
「熟練者の退職による技能継承の遅れ、さらに研磨作業自体がきつい・危険・汚いというイメージが、業界全体の人手不足の一因となっております」
この言葉は日本の製造現場が直面する現実を端的に示しており、製造現場を直接支える「生産工程従事者」は減少の一途を辿っています。30年前には1,300万人を超えていた担い手は、今や1,000万人を大きく割り込み、研磨の現場においても人材の減少に歯止めがかからない状況が続いています。
研磨業界に限らず、現場の人手不足を抱える業界は対策としてロボット導入を進めています。日本ロボット工業会が公開した統計(2024年次)によれば、日本の産業用ロボット稼働台数は約45万台に達し、中国に次ぐ世界有数のロボット導入国としての地位を占めています。しかし研磨工程に限ると、その割合は非常に小さいものとなっています。
国内向けに新しく出荷された産業用ロボットの全用途合計36,929台に対し、「研削・研磨」および「バリ取り・仕上げ」は合計410台と、わずか約1.1%に留まっています。
なぜ、研磨は自動化から取り残されてきたのか。
福吉所長は「研磨は『押し付けすぎると削りすぎるが、反対に弱いと仕上がらない』という非常にシビアな作業。従来のロボットは『位置は正確だが、力加減が苦手』だった為、人の研磨作業を置き換えるのが困難でした」と述べています。
まさにその臨機応変な力加減こそが職人技に依ったもので、それを機械で再現するのが困難だったことが、研磨の自動化を阻んでいた大きな理由です。
「押し付けすぎると削りすぎ、弱いと仕上がらない」という極めてシビアな管理が求められます。
従来のロボットは「位置」の制御は得意ですが、人のような柔軟な「力の加減」が苦手でした。
砥石やペーパーは使用に伴い摩耗し、研削力が刻々と変化します。この「道具側の変質」に合わせた動的な補正が不可欠です。
摩擦熱による微細な「歪み」や、成形時の「数ミリの誤差」。あらかじめ決めた軌道と現実の形とのズレが、加工不良の直接的な原因となります。
これまでの自動化は、教示(ティーチング)された通りに動く「位置制御」が主体でした。しかし、研磨のように変動要素が多く、さらに連続する工程では、ロボット自身が対象を「感じ取り」、リアルタイムに順応する「能動的制御」への転換が必要です。
この転換の核心となるのが、FerRobotics社が開発したACT(Active Compliant Technology:能動的コンプライアント技術)です。
ACTは、単なる力センサーではありません。表面の不規則性や微細な形状変化に対し、リアルタイムで物理的な応答を繰り返す「能動的な触覚(Active tactile sense)」そのものです。
この技術により、ロボットは複雑なワークの表面に直感的に適応し、接触力を自動的に調整し続けます。研磨材が摩耗して薄くなっても、ACTがその厚みの変化を即座に感知して突き出し量を調整するため、設定された押付力を1グラム単位で維持することが可能です。
命令に従うだけの「道具」から、ワークの状態や道具の摩耗に自律的に順応し、熟練工のような柔軟なプロセスを再現する「知能を持ったインターフェース」へ。この進化が、かつて不可能とされた高度な研磨自動化を現実のものにしました。
実際に一連の流れを見学しましたが、設定開始から加工完了までわずか数分でした。設定はタッチパッドを用いて直感的に行えるため、この効率化はワークが複雑であればあるほど、量が多ければ多いほど効果が大きくなると感じます。
(仮の回答:従来のロボットが『石にパスを刻む』ようなものだとしたら、FerRoboticsは『熟練職人が指先で撫でる』感覚そのものです。道具側が合わせてくれる柔軟な知能こそが、多品種少量生産の自動化におけるミッシングリンクだったのです。)
FerRoboticsの真価は、省人化を超えた「プロセスの最適化」にあります。ACT技術は研磨材の不必要な摩耗を抑え、寿命を最大3〜4倍に延ばし、消費量を6割削減した事例も報告されています。結果として、交換頻度や廃棄量が減り、エコにもつながります。
寿命が伸びて消費量が減ることは、そのままコスト削減と環境負荷低減につながります。自動化は「速くする」だけでなく、「無駄を減らす」ことでも価値を生み出します。
研磨自動化の壁を、ともに超えませんか。
劇的な作業時間短縮は、貴社の圧倒的な「利益」となる可能性があります。
先行導入こそが、次世代の製造現場における優位性となります。