R-GEAR 現場レポート vol.1 FSK工場見学

R-GEAR 現場レポート vol.1
ブレない軸付で、ブレない品質。

― 精密な"手仕事"と"技術"の融合で生まれるFSK品質 ―

愛知県知多市――中部電力や石油コンビナートなどの産業インフラが集積する臨海部と、緑豊かな農業地帯が共存するこの町は、古くから「ものづくり」が息づく土地として知られています。名古屋市中心部からのアクセスも良く、多くの製造業がこの地に根を下ろしています。そんな知多市に本社を構えるのが、研削工具メーカー・株式会社エフエスケー。自社一貫体制によるものづくりを強みに、軸付き砥石、超硬用砥石、ダイヤモンド・CBNホイールなど、多種多様な研削工具を国内外の現場へ届けています。

FSK会社正面写真
株式会社エフエスケー本社

切削・研削現場に欠かせない「軸付き砥石」。その製造工程は、一見すると工業製品の量産ラインのようですが、実は"お菓子づくり"に似た繊細な工程の積み重ねで成り立っているように感じました。今回は、エフエスケー様の工場で行われている軸付き砥石の製造現場を訪ね、そのこだわりと技術力の裏側をレポートします。

軸付き砥石の製造は、まるでお菓子づくり。

Step 1:調合 ― 材料選びは、レシピの決め手

材料となる砥粒(WA、PAなど)と結合剤(ビトリファイド、レジノイド)を、用途や硬度に応じてミリグラム単位で配合。 気温や湿度によってわずかに変化する素材の性質を見極め、最適なバランスで“レシピ”が決定されます。 これは、焼き菓子の生地をこねるようなもので、配合が少しでもズレれば、性能や安全性に大きく影響します。

Step 2:成形 ― ロボットが仕込み担当

調合された原料は、人の手またはロボットによって金型に均一に充填され、高精度プレスで圧縮・成形されます。 豊富な金型とロボットによる精密な作業により、1個1個の砥石が常に安定した形状を保ちます。

ロボットによる成形

POINT:自動化できるところはロボットの導入を行い、生産性の向上・品質の安定化を図っています。

Step 3:焼成 ― 焼き加減が品質を左右

成形された砥石は、焼成炉でじっくりと加熱されます。 ビトリファイドは1300℃近い高温で数日かけて焼き上げる一方、レジノイドは約180℃と低温ながら、時間と温度管理が非常に重要です。 温度ムラが少しでもあると割れや歪みにつながるため、“レシピ通りの焼き加減”を見極めるノウハウが品質を支えています。

POINT:レシピ通りに作れているか結合度試験等を行っており、社内資格を有する限れられた人材が作業に当たります。

まとめ

こうして、調合から成形、そして焼成まで――まるでお菓子づくりのように繊細で、緻密な工程を経て軸付き砥石は形を整えていきます。しかし、FSKの真髄はここから先。最大の強みである「製軸」と、熟練者による“手仕事”の工程にこそ、ブレない品質の秘密があります。次回は、軸へのこだわりと熟練作業者による接着工程、さらにインタビュー記事をお届けします。どうぞお楽しみに!