立方晶窒化ホウ素(CBN)

立方晶窒化ホウ素とは、ホウ素(B)と窒素(N)からなる人工の超硬質材料で、ダイアモンドと並ぶ代表的な超砥粒のひとつです。立方晶窒化ホウ素の英語名であるCubic Boron Nitrideの頭文字を取り、CBNと呼ばれることもあります。
ダイアモンドに次ぐ硬度を持ちながら、ダイアモンドが苦手とする鉄系材料との化学反応性が低いという特性から、研磨業界では鉄鋼材料の加工に適した砥粒として広く用いられています。
超砥粒とは
超砥粒(Superabrasives)とは、ダイアモンド砥粒および立方晶窒化ホウ素(cBN)砥粒の総称であり、 アルミナ系、炭化ケイ素系などと比較して、はるかに高い硬度と研磨性能を持つ高性能な研磨材です。
特性
硬度
CBNは、ホウ素と窒素の原子が強く結びつき、それが三次元の骨組みのように全方向に広がる構造をしているため、外からの力にも非常に強く硬い特性を持ちます。
切れ味
微細破砕により自己鋭利化が進むため、切れ味も長時間持続します。ダイアモンドは破砕時に大きく欠ける傾向があり、持続性はCBNと比較してそれほど長くありません。
熱的特性
CBNは熱的にも非常に優れた特性を持っています。熱伝導率は最大で750 W/m·Kと非常に高く、加工中に砥粒に熱がこもるのを抑えるため、熱による砥粒の劣化やワークへの熱ダメージを軽減できます。また、CBNはおよそ1,300℃という高い酸化開始温度を持ち、ダイアモンド(約700℃)と比べて高温環境にも耐えることができます。
化学的安定性
CBNは鉄との反応性が極めて低く、高温でも安定しているため、焼入れ鋼などの鉄系材料を加工するのに適しています。特に熱がこもりやすいドライ研削のような条件でも、安定した性能を発揮できるのが特長です。
製造方法
CBNはホウ素と窒素を原料とし、まず高温で六方晶窒化ホウ素(hBN)を合成します。次に、このhBNを高圧高温(HPHT:High Pressure High Temperature)条件下に置くことで、立方晶構造(CBN)に相転移させます。こうして得られたCBNは粉砕されて砥粒となり、用途に応じて ビトリファイドやレジノイドなどの結合材と混合され、砥石として製造されます。