工具鋼

工具鋼とは、切削工具や金型などの製造に使用される鋼材で、一般鋼よりも炭素含有率が高いことから、高い硬度や耐摩耗性を持ちます。主な種類として、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼(HSS)があり、それぞれ用途や特性が異なります。

炭素工具鋼

炭素工具鋼は、主に鉄と炭素から構成される鋼材です。一般鋼と比べ硬度と強度が高く、主に小型の切削工具や金型に使用されます。JIS G4401で「炭素工具鋼鋼材」として規定されており、炭素含有率や焼きなまし温度、用途により11種類へ分けられています。また銅やクロム、ニッケルの含有率には制限があります。
炭素含有量が高く他の元素も添加されていないので焼入れ性が劣り(均一な硬度が得にくい)、大型の工具には向いていません。

更に詳細な説明は 炭素工具鋼のページで行っております。

合金工具鋼

合金工具鋼は、鋼に炭素以外の合金元素(クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)など)を添加して、焼入れ性や耐摩耗性を向上させた鋼材です。合金鋼とは炭素含有量が異なります。合金工具鋼はJIS G 4404にて、合金鋼はJIS G 4053にて規定されています。炭素工具鋼と比較して焼入れ性に優れているため、大型の工具にも適しています。

更に詳細な説明は 合金工具鋼のページで行っております。

高速度工具鋼

高速度工具鋼は、主に高速切削に適した特性を持つ鋼材で、JIS G 4403に規定されています。HSS(High Speed Steel)とも呼ばれます。合金工具鋼よりも添加元素の含有量が多く、また合金工具鋼では制限されていたコバルトの意図的な添加が許されています。

更に詳細な説明は 高速度工具鋼のページで行っております。