
研磨布紙とは
研磨布紙は砥材を基材に接着させることでつくられる研磨工具のことをいいます。身近なものでは紙やすりも研磨布紙に含まれます。
研磨布紙の構成要素には砥材、基材、接着剤の3つがあり、それぞれ種類があります。これらの組み合わせにより様々な用途に適した製品が生まれます。
研磨布紙の特徴

研磨布紙の最も大きな特徴として、刃先が突出していることが挙げられます。 そのため切れ味が良い一方で、砥石のように砥材が脱落しても次の砥材が出てくるわけではないため、脱粒を防ぐために2層の接着剤でしっかりと固定しています。
研磨布紙の製造工程

紙や布などの基材に下引き接着剤(メークコート)を塗布し、静電気により砥材を配列させます。 その後、上引き接着剤(サイズコート)で脱粒を防ぐために固着させることで完成します。
工場では大きな基材のロールを引っ張りながら接着剤を塗布します。これを3~4回繰り返すことで基材の強度が向上し、表面が滑らかになり、熱に強くなり、伸び防止になります。研磨布紙の土台となる基材をこの工程でしっかりと作り込んでいきます。
この基材に砥材を接着させるコーティングという作業を経て、シートやロール、ベルトといった商品に加工していきます。
研磨布紙の歴史
13世紀には中国で砕いた貝殻(砥材)を羊皮紙(基材)に樹液(接着剤)で固着させ研磨を行っていた記録があり、その後はガーネットやエメリーなどの天然砥材が使用されていました。
電気炉が登場すると鉱石などを溶かすことができるようになり、そこでつくられる人工砥材が主流となっていきました。研磨布紙はテクノロジーの進歩とともに進化してきたといえます。
研磨布紙商品

研磨ベルト
高研削かつ長寿命のセラミックベルトや抜群の切れ味のジルコニアベルト、用途にあわせて選べるステンレス用、金属用、木工用ベルトを取り揃えました。

ディスク
NCA独自の目詰まりしにくく切れ味が持続するアストラパターンをもつディスクを筆頭に、ジルコニアやペーパーディスクをラインナップ。

シート
ディスク同様、切れ味が長持ちするアストラパターンを持つシートや、手作業用の布シート、耐水研磨布など多様なアイテムがございます。

ホイール
表面仕上げ、バリ取り、軸付きグラインダ用ホイールを扱っております。サイズ展開も豊富にご用意しております。

テープ/ロール
貼るだけで誰でも施工できるノンスリップテープです。カラフルなものから透明のもの、警告用の虎柄まで様々なノンスリップがございます。
研磨布紙用語集
研磨布紙に関する用語の解説です。
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砥材とは
加工したい対象を研磨するための素材です。研磨材ともよばれます。歴史を遡るとガーネットやエメリーといった天然素材が主に使われていましたが、現在では人工素材が主流となっています。
砥材の種類 | |
---|---|
アランダム系(Al2O3) | カーバイト系(SIC) |
![]() A砥材 |
![]() C砥材 |
![]() Z(AZ)砥材 |
![]() SD砥材 |
![]() CE砥材 |
![]() CBN砥材 |
同じ砥材でも粒度によって研磨の粗さと細かさを変化させることができます。
また砥材は研磨する対象よりも硬くなければなりません。理想とされる硬度は、研磨する対象(ワーク)よりも3倍の硬さを持つことです。
接着剤とは
接着剤とは、研磨布紙における基材と砥材を接着させる役目を持った素材です。砥材の脱粒を防ぐために下引き接着剤と上引き接着剤の二度に分けて接着剤を塗布します。
砥材と同様に天然素材と人工素材に分けることができ、天然素材には膠(にかわ)、人工素材には合成樹脂(レジン)があります。
合成樹脂の中でもエポキシ樹脂やフェノール樹脂、尿素メラミン樹脂などの種類があります。
基材とは
基材とは、研磨布紙の土台となる部分です。布と紙が用いられ、基材の上に接着剤と砥材が塗布あるいは配置されます。
布は柔軟性に富み、強度があり破れにくく、カールしにくいという特徴があります。紙の主なメリットには布の半値程度と安価な点が挙げられます。
布と紙それぞれの中でも素材の種類があります。
布では綿布100%のJ基材、綿布と化学繊維のX基材、化学繊維100%のY基材と、あとに行くほど硬い素材となります。
紙ではA基材(65~85g/m2)、C基材(95~120g/m2)、D基材(135~200g/m2)、E基材(220~300g/㎡)とあとにいくほど厚手となっていき、硬い素材となります。
加工対象が曲面の仕上がりであれば柔らかい基材に細粒の砥材を、平面であれば硬い基材に粗粒の砥材を選択します。
基材と機械の相性 | |
---|---|
機械名称 | 適した基材 |
ベルトサンダー | 布基材X、Y 理由:回転により紙は伸びてしまうため |
スポンジサンダー | 布基材J 理由:スポンジに合う柔軟性が必要なため |
エッジサンダー | 紙基材D、E、布素材X 理由:平面の研磨は硬めの基材が適しているため |
靭性とは
靭性とは、素材の強度や圧力に対して耐えられる程度を表す単語です。「靭性が高い」というのは壊れにくいということを指します。
研磨布紙における靭性は主に砥材に用いられ、各素材によって靭性が異なります。
靭性が高い方がいいとは一概に言い切れず、靭性が低いことですぐに先端が欠け、常に新しい刃として再生されるため切れ味を保つことができるという面もあります。
ただし欠けやすいということはそれだけ砥材のすり減りも早くなるため、寿命としては短くなります。

クローズドコートとは
クローズドコートとは、研磨布紙表面の砥粒(砥材)密度を表す単語です。砥粒が研磨布紙表面の大部分を占めている状態で、オープンコートよりも密度が高いため研磨速度が早くなります。一般的な研磨布紙のほとんどがこのクローズドコートです。
オープンコートとは
オープンコートとは、研磨布紙表面の砥粒(砥材)密度を表す単語です。研磨布紙表面の砥粒の密度を低くし、砥粒同士の間隔を広げる事により、研磨面の目詰まり防止や研磨熱を低くする事による被削材の加工ダメージ低減の効果が期待できます。 しかし砥材の密度が低いためクローズドコートよりは仕上がりが粗くなります。