結合剤

結合剤とは、砥粒を結合し保持する役割を果たす砥石の基本的な構成要素です。砥粒気孔と並んで砥石の三要素と言われます。

結合剤の種類と特性

合金鋼の種類 特徴
ビトリファイド(V) ビトリファイド結合剤は、長石や無機質の粘土類を基材とし、1300℃程度の高温で焼成して製造されます。ビトリファイド(vitrified)は英語で「ガラス状のもの」を意味します。
  • 焼成温度が1300℃と高いため、高温でも性能変化が少なく、熱膨張による寸法変化が少ない
  • 焼成時にガラス化して砥粒を強固に保持し、硬度と剛性が高い
  • 加工時の形状保持性に優れ、耐摩耗性が高い
  • 無機質材料のため経年劣化が少なく、長寿命で安定した研削が可能
  • 砥粒同士がブリッジ構造で結合されているため気孔率が高く、切りくずの排出が容易

適した研削

平面研削、内面研削、円筒研削
レジノイド(B) レジノイド結合剤は、石炭酸とホルマリンによりつくられたフェノール樹脂を、200℃程度の低温で焼成して製造されたものです。
  • ビトリファイドのような無機質結合剤と比較して、弾性と靭性に富んでいる
  • 弾性に富んでいるため破損のリスクが比較的低く、砥石を薄型化できる
  • 高い弾性と靭性は、高周速度で使用する砥石の製作にも適している
  • 有機質結合剤なので経年劣化する

適した研削

超重研削、重・粗研削、超仕上、ロール研磨
ゴム(R) ゴム結合剤は、天然もしくは人造の硬質ゴムに硫黄と加硫促進剤、酸化亜鉛などを加え180℃程度の低温で焼成して製造されたものです。
  • 高い弾性を持つため研磨傷ができにくい
  • 高い弾性は薄型砥石の製造にも適している
  • 衝撃吸収性に優れているため、研削時の振動が抑制される
  • 自生作用に優れているため、ドレッシング(目直し)の必要がほとんどない
  • ツルーイング(型直し)が容易
  • 研削性は高くないが、そのため削りすぎが起こりにくい

適した研削

湿式切断、センタレス研削
メタル(M) メタル結合剤は、銅や鉄などの金属粉末を焼結して製造されたものです。
  • 硬度が高いため摩耗しにくい
  • セラミックやガラスなどの硬脆材料の研削に適している
  • ツルーイング、ドレッシングが難しい
  • 砥石保持力が大きいため高寿命である

適した研削

粗研削、精密研削、コンクリートの切断
電着(P) 電着結合剤は、電気メッキ技術を用いてダイアモンドやCBN砥粒などを母材へ固定させたものです。メッキにはニッケルがよく用いられます。砥粒は一層のみ固定されます。
  • 砥粒層が1層なので砥粒の突き出しが大きく、切れ味がいい。しかしその分寿命も短い
  • 異形高精度品の加工に適している
  • 加工能率が高い

適した研削

高精度研削、複雑な形状の研削、極小品